双極性障害の彼女とは別れた方がいい?人には勧めない僕が、それでも付き合い続ける理由

に座り、それぞれ物思いにふける男女。「双極性障害の彼女とは別れた方がいい?」というタイトルを添えたイラスト。

「双極性障害の彼女と、このまま付き合い続けた方がいいと思う?」

僕と同じように、自分の幸せを後回しにしている人から相談されたら。「自分の生活を守れない状態が続くなら、別れも考えていい」と答えると思います。

好きなのにつらいと言えない。彼女が会いたいときは、仕事や睡眠を後回しにして会いに行く。その一方で、自分が会いたい気持ちは飲み込む。約束がなくなることに慣れ、最初から期待しなくなっている。そんな関係を、ほかの人には勧められません。

それでも僕は、一度LINEで別れを告げられた彼女と復縁しました。別れから9か月後のことで、今も付き合っています。愛情だけでなく、必要とされたい思いもあるのでしょう。今まで使った時間とお金を、無駄にしたくない気持ちもあると思います。

だから、彼女を支える立派な彼氏として自分を美化するつもりはありません。僕が傷ついたことも、それでも離れられない理由も隠さず書きます。そのうえで、どんな関係なら別れを考えていいのか。何を確かめられれば続けたいのかを整理します。

これは僕たち二人の体験です。彼女の言動を、すべて病気のせいと決めつけることはできません。僕たちの関係を、双極性障害のある人すべてに当てはめることもできません。ここで示すのは医学的な判定ではなく、自分の関係を振り返るための判断材料です。

目次 表示

結論|自分を削る関係が続くなら、好きでも別れを考えていい

僕の答えは、ここにあります。自分の生活を守れず、負担を減らす見通しも持てない。そんな関係なら、好きでも別れを考えていい。

大切なのは、「彼女のつらさにどこまで耐えられるか」だけではありません。あなたのつらさも、二人の間で大切に扱われているか。僕はそこを判断の軸にしたいと思っています。

迷ったときに確認したい5つのこと

  • 睡眠・仕事・生活費を守り、無理な誘いや金銭的な負担を断れるか
  • 約束が守れなかったあと、落ち着いて向き合えるときに自分の悲しさも聞いてもらえるか
  • 必要とされる喜びや離れる罪悪感だけでなく、自分も一緒にいたいと思えるか
  • 今まで使った時間やお金を除いても、これからの関係を選びたいか
  • どちらか一方の我慢を減らすために、二人が実際に行動しているか

「何個当てはまれば別れる」という採点ではありません。一度会えなかったことや、一時的に話し合えないことだけで決めるものでもありません。負担がどれほど大きく、どれほど続き、自分の生活に何が起きているかを見てほしいです。

生活を守れるか、悲しさを聞いてもらえるか、自分も一緒にいたいか、これからの関係を選びたいか、負担を減らす行動があるかを整理した図。
病名だけでなく、自分の生活や気持ちも大切にされる関係かを振り返る。

続ける余地は、謝罪よりも日々の関係にある

自分の生活を守るために、無理なことは断れる。彼女も交際を望んでいる。無理のない連絡や支援の方法を、一緒に考えられる。二人が交際を望み、負担を減らす行動も見えるなら、続ける余地はあると思います。

反対に、つらさを伝えても一方だけの我慢が続く。生活への影響も減らない。そんな場合は、相手に悪気がないことと、自分が関係を続けられることは別です。相手を責める理由を探さなくても、自分の生活を大切にしてよいと思います。

相手や自分の心身が心配なときは、一人で抱え込まないでください。無理に二人だけで解決しようとせず、信頼できる人や相談先の力も借りてよいと思います。記事後半に公的な相談先を載せています。

別れを考える目安|自分の生活を守れず、無理だと言えない

ここからは、なぜ僕がそう考えるのかを、実際の出来事から書きます。自分にも同じ経験があるか。その関係で、自分の生活はどう変わっているか。そんなことを考えながら読んでもらえたらと思います。

僕たちの関係では、少しずつ次のような偏りが生まれていました。

自分がつらいときに、彼女へつらいと言えない。彼女がつらいときは、自分の予定や睡眠を後回しにして会いに行く。

僕からの電話には出てもらえないのに、彼女が遊びたいときは朝夜を問わず連絡が来る。誘いを断ると彼女が悲しみ、自分が悪いことをしたように感じる。

ドタキャンや予定の消滅を、最初から想定して約束するようになる。彼女の苦しみに比べれば、自分の苦しみは大したことがないと思い込む。

彼女が「今から会いたい」と言えば、翌日が仕事でも会いに行ったことがあります。寝不足でも、彼女が少し楽になるならよいと思っていました。

柔らかな照明の寝室で、上着を腕に掛けてスマートフォンを見る男性。手前に仕事用のパソコンと鞄、奥にベッドがある水彩イラスト。
会いに行きたい気持ちがあっても、自分の睡眠や生活まで小さく扱わなくていい。

断ったあとも、自分の都合を尊重してもらえるか

一方で、僕がつらいときに電話をすると、気まずくなることがあります。直接「嫌だ」と言われるわけではありません。それでも、今連絡すること自体がいけなかったように感じる発言があります。僕の会いたい気持ちは遠慮し、彼女の会いたい気持ちはできる限り受け入れる。いつの間にか、それが僕たちの普通になっていました。

僕は彼女を理解しようとするほど、自分の傷を小さく扱っていました。ただ、彼女が断られて悲しむこと自体を、悪いことだと言いたいわけではありません。悲しんでいても、僕の「今日は無理」を尊重してもらえるかが大切なのだと思います。

睡眠や仕事、お金を守るためにも、断りたいときはあります。無理を断れず、生活を削る状態が続くなら、関係を見直す理由になります。限界まで我慢しなくても、自分のこれからを考えてよいと思います。

彼女との関係でつらかったことや、ドタキャン、音信不通への向き合い方も書いています。詳しくは、双極性障害の彼女と付き合って感じたこと|しんどかった時と無理をしない向き合い方をご覧ください。

約束を守れなかったあと、あなたの悲しさも大切にされているか

あるとき、自分が彼女との約束を楽しみにしていないことに気づきました。

会う約束をしても、「たぶん今回もなくなるだろう」と心のどこかで考えている。期待しなければ、ドタキャンされても傷つかずに済むからです。

予定がなくなること以上に、怖かったことがあります。傷つかないために、最初から彼女へ期待しない自分になっていたことです。

僕は、体調が悪くても必ず会ってほしいわけではありません。

「今日は体調が悪くて会えない。本当にごめん。来週のこの日はどう?」

事前にこの言葉が来たら、僕は大切にされていると思えます。

これは僕がしてもらえたら、うれしい対応です。いつでもできるはずだと言いたいわけではありません。僕は「予定がなくなって悲しかった」とは伝えました。でも、次の予定を提案してほしいとは、まだ伝えていません。望んでいることと、実際にお願いしたことは分けて考える必要があります。

つらかったのは、会えないことだけではありません。約束が何の説明もなく消えてしまう。待っていた僕の時間まで、最初から存在しなかったように扱われることでした。

僕が欲しかったのは、体調にかかわらず必ず会うことではありません。会えなかったときにも、僕が待っていたことを忘れないでほしかったのです。

責めると反発され、悲しかったと伝えると謝ってくれた

予定がなくなったとき、僕は「悲しかった」と自分の気持ちを伝えました。すると、彼女は素直に「ごめん」と謝ってくれました。

しかし、不満をためて責めるように伝えたこともあります。そのときは、「体調が悪かったんだから仕方ないじゃん」と返されました。

彼女に申し訳ない気持ちがないわけではありません。責められたと感じると、その気持ちより先に自分を守ろうとするのだと思います。この出来事から、僕の伝え方も大切だと気づきました。

ただし、結論を「僕の言い方が悪かった」だけにしたくはありません。僕は傷ついていても、彼女を傷つけない言葉を毎回考える。それをしないと、話を聞いてもらえない。その難しさも、支える側の負担だからです。

僕の言い方が強かったことは確かです。でも、僕が傷ついたことも事実です。どちらか一方を、なかったことにはできません。

毎回予定どおりに会えるかだけで、判断したいわけではありません。会えなかったあとに、二人で関係を立て直そうとできるか。その姿勢を見たいのです。その場で説明できなくても、後日気持ちを聞けることもあります。可能な連絡方法を考えるなど、できる形は違ってよいと思います。

一方で、向き合えるときにも自分の気持ちは聞いてもらえない。「病気だから仕方ない」で、困りごとが終わってしまう。そんなことが続くなら、我慢だけで関係を保っていないかを見直したいです。

「会えなかった」という出来事から、事情を伝える、悲しさも聞く、今後を相談するという3つの対応を示した図。「できるときに、できる方法で」と添えている。
約束を守れたかだけでなく、会えなかったあとに二人で向き合えるか。

それでも僕が彼女と復縁した理由

優しさへのつらさを伝えられ、LINEで別れを告げられた

別れを告げられたのは、LINEでした。そこには、僕への感謝と申し訳なさが長い文章で書かれていました。でも、会って言葉を交わして別れるのではありませんでした。画面越しに別れを告げられたこと自体が、僕にはショックでした。

LINEには、優しさへのつらさだけでなく別れたい意思もあった

彼女は、自分の体調のことでいっぱいいっぱいだと書いていました。僕に迷惑や心配をかけ、助けてもらうばかりになっている。会えない申し訳なさや、僕につらい思いをさせていることも考えてしまう。そのため、気持ちを向ける余裕がなくなったと伝えていました。

僕が「そんなことないよ」と返す優しさも、彼女にはつらく、自分を嫌になることがある。その説明を読んで、僕は優しさまで別れの理由になったように感じました。

以下は、LINEから名前を含まない部分を抜粋したものです。

LINE
LINE

気持ちを向ける余裕がなくなっちゃった。

正直、これからのこととか未来のことは私にも分からないしあまり考えたくもないんだ。

だから、ここで一区切りにさせてほしいです。

僕を嫌いになったわけではないとも書かれていました。ただ、それと同時に、自分の余裕のなさも説明していました。そして、ここで関係を区切りたいと伝えていました。「優しすぎるから」という一つの理由だけで、この別れを説明することはできません。

ありがとうと返したけれど、ショックがなかったわけではない

僕はそのLINEに、「言ってくれてありがとう」「少し覚悟してた」と返しました。彼女がいろいろ考えた結果なのだろうと受け止めました。楽しい思い出があったこと、幸せだったこと。そして、彼女の幸せを願っていることを伝えました。

やり取りだけを見ると、僕は穏やかに別れを受け入れているように見えると思います。でも、感謝を伝えられたことと、納得できたことは別です。

優しくしてもつらいと言われるなら、僕はどうすればよかったのか。何を変えれば二人で続けられたのか。僕の中には、そうした納得できなさが残りました。別れそのものに加えて、その結論をLINEで受け取ったショックもありました。

彼女からは最後に、「わたしもしあわせでした。」と返ってきました。その言葉があっても、僕の悲しさが消えたわけではありません。お互いに感謝は伝えました。でも、気持ちまできれいに整理できた別れではありませんでした。

嫌いになっていないことと、付き合い続けたいことは違う

あとから僕は、優しさがつらいという言葉を考え直しました。僕を悲しませている自分がつらいのかもしれない。これ以上、僕を悲しませたくないのかもしれない。そう受け取ったから、振られたあとも支えたいと思いました。

その解釈には、僕へ負担をかけていることを気にする彼女の文面という根拠があります。でも、「だから本当は別れたくなかったはずだ」とまでは言えません。

LINEには、嫌いになったわけではないという説明がありました。同時に、関係を終わらせたいという意思も書かれています。受け取りたい言葉だけを拾ってはいけない。別れたいという言葉を、軽く扱ってはいけないと思います。

支えたい気持ちが残っていても、彼女はその時点で別れを望んでいました。この二つは分けて考える必要があります。僕の気持ちは、距離を置きたいという彼女の意思を押し切ってよい理由にはなりません。

同じように別れを告げられて迷っているなら、今、相手も交際を望んでいるかを確かめてほしいです。「嫌いではない」という言葉だけでは分かりません。僕たちはあとから復縁しました。でも、それは別れを受け入れずに待ち続ければよい、という根拠にはなりません。

その9か月後、なぜ傷ついた僕は復縁を望んだのか

そのLINEで別れてから9か月後、僕たちは復縁しました。

優しくしたことまで、別れの理由になったように感じました。LINEで別れを受け取ったとき、僕の気持ちは追いつきませんでした。その悲しさが残っていたのに、なぜ僕はもう一度彼女と付き合いたいと思ったのか。

傷ついた出来事を忘れたからでも、彼女との問題がすべて解決したからでもありません。正直、復縁したあとも、別れる前と大して変わらないと感じることはあります。

可愛いと思う彼女との、何気ないやり取りがありました。好かれていると感じられる時間への思いも残っていました。自分の言動を後悔し、変わりたいと願う彼女も知っていました。だから、傷ついた記憶だけでは、好きな気持ちを終わりにできませんでした。

つらかった経験から、離れた方がよいのではないかと考える自分がいる。それでも、彼女と一緒にいたいという気持ちもある。僕の中には、その両方が残っていました。

ただ、「まだ好きだったから」で終わらせると、僕に都合のよい話になります。彼女を理解してあげたい気持ちだけではありません。必要とされたい思いや、これまでの時間を失いたくない怖さもあったと思います。復縁したいと思った理由は、一つではありませんでした。

明るい木漏れ日の差す並木道で、少し距離を空けて向き合う男女を描いた水彩イラスト。
傷ついたことは消えていない。それでも、もう一度一緒にいたい気持ちが残っていた。

彼女が自分を嫌い、変わりたいと思っていると知ったから

彼女はこれまで、病気のせいで何人もの友人を失ってきたと話していました。それは彼女から聞いた説明で、僕がその関係の経緯をすべて知っているわけではありません。

僕自身も関係の難しさを感じていたので、彼女の話を聞いて複雑な気持ちになりました。自分がつらかった経験と重なり、関係を続ける難しさを改めて感じました。

それでも彼女は、友人を失ったことを何とも思っていないわけではありませんでした。自分の言動を後悔し、そんな自分を嫌い、変わりたいと思っていることが伝わってきました。

彼女の行動を理解することと、僕が傷つかなかったことにするのは別です。それでも、彼女が自分の言動を後悔し、変わりたいと願っていることも、僕には大切でした。その気持ちを理解し、寄り添いたいと思いました。

反省の言葉と、関係の変化は分けて考える

ただ、変わりたい気持ちと、実際に二人の関係が変わることは別です。謝ってくれたことだけで、以前の問題まで解決したと判断しない。復縁した時点で、僕たちの問題がなくなっていたわけではありません。

復縁した今は、少しずつ約束を守ろうとする行動も見られます。それは、今の僕が付き合い続けるかを考える材料です。戻りたいと思った当時の気持ちと、戻ったあとに見えてきた変化。その二つは、分けて書いておきたいと思います。

彼女を「甘えではないか」と感じながらも、離れられなかった本音もあります。双極性障害の彼女を「甘えじゃないか」と思った僕の本音|支え方と距離感に悩んででも書いています。

必要とされているから、離れられない関係になっていないか

必要とされる喜びと、離れにくさ

彼女から、僕の存在が大きな支えになっていると伝えられることがあります。言葉をそのまま引用するのではなく要約していますが、僕の心に強く残る言葉でした。

彼女の話を聞くたびに、抱えているつらさの大きさを感じてきました。そのため当時の僕は、彼女の苦しみに比べれば、自分の苦しみなど大したことはないと考えていました。彼女以外の場所で息抜きをし、遊びに行けばよいと思っていました。

その言葉から、必要とされている喜びを感じます。ただ、その喜びと同時に、離れることをためらう気持ちもありました。

相手を支える役割を、恋人一人で引き受ける必要はありません。僕の苦しみと彼女の苦しみを比べても、僕の寂しさや寝不足が消えるわけではありません。

この言葉は、彼女の感謝なのか。それ以外にどんな気持ちを含むのか、僕には断定できません。ただ、受け取る僕には、自分が離れたあとの彼女を心配する気持ちもありました。

「必要とされているから離れられない」だけになっていないか。自分も交際を望んでいるのか、考え直していいと思います。相手の安全を気にかけて支えることと、恋人であり続けることは別です。

僕は彼女を支えたいだけではなかったのかもしれません。彼女に必要とされることで、自分の居場所も確かめていたのだと思います。

ほかの男性と自分は違うと思いたかった

実際には、彼女には僕以外にも頼っている人が何人かいるようです。それを聞いたとき、僕はショックを受けました。

彼女の説明では、その人たちとは仕事上のお金の関係でした。いわゆる仕事の延長だと言っていました。しかし、「自分もその中の一人なのではないか」という疑いが、完全には消えていません。

彼女は僕を、両親に彼氏として紹介してくれました。デート代は僕が出すことが多いです。それでも、お金だけを理由に会っているようには感じません。彼女がしている夜職の仕事にも、僕は客として行きません。そうした点で、僕とほかの人との関係は違うと思っています。

それでも、本当のところは確かめようがありません。何を聞いても、それがすべて本当だと証明する方法はないからです。知らない方がよいこともあるのかもしれません。

また自分を選んでほしいという、僕の期待

僕には、もし彼女が離れても、また自分を選んでほしいという期待もあります。その期待が、離れにくさにつながっているのかもしれません。

もし彼女が本当に僕から離れていったら、自分が選ばれなかったことを、つらく感じると思います。ほっとするのか、嫉妬で苦しくなるのか、今の僕には分かりません。すぐには穏やかに受け止められないかもしれません。それでも、最後には距離を置くのだと思います。

恋愛を勝ち負けにしたいわけではありません。それでも、彼女がほかの人を選べば、僕は傷つくと思います。注いだ時間やお金だけの問題ではありません。「自分だけは彼女を理解できる」という自負まで、否定されたように感じるのでしょう。

美化せずに言えば、「自分だけは理解してあげたい」という気持ちは、愛情だけではありません。彼女にとって特別な存在でありたいという欲も混ざっています。

読んでいるあなたにも、似た気持ちがあるかもしれません。「ほかの人に負けたくない」と「この人と幸せに過ごしたい」は、分けて考えたいです。僕自身にも、他の人に負けたくないという気持ちが混ざっています。だから、自分が続けていることを、ほかの人にも続けるべき理由にはできません。

好き、支えたい、必要とされたい、特別でいたいという4つの気持ちを、重なり合う淡い色の楕円で表した図。
好き、支えたい、必要とされたい、特別でいたい。僕の中には、その全部が混ざっている。

僕が本当に欲しかったのは、必要ではなく選ばれること

記事を書く上で自問自答する時に、僕が彼女から何を受け取りたいのかを考えました。

感謝の言葉なのか。「あなたが必要」という言葉なのか。支えたことへの見返りなのか。

一番近かったのは、約束を守ってもらうことでした。

約束した日に会えること。難しいなら、早めに連絡が来ること。会えなかった予定が、何もなかったように消えず、彼女から次の予定を提案してもらえること。

それは僕にとって、「あなたとの時間も大切にしている」と感じられる行動です。ただ、約束を守れた回数だけで、愛情を測れるとは思っていません。体調でできなかったことと、僕の気持ちをどう扱ってくれるかは、分けて見たいと思います。

僕には必要とされたい気持ちもあります。でも、何かをしてあげるから選ばれるだけでは寂しい。本当は、一人の恋人として、彼女から選ばれたかったのだと思います。

約束どおり作ってくれた料理が、毎日のお弁当になった

以前から彼女は、「いつもデート代を出してくれているから、今度は私がご飯を作る」と言っていました。

正直、その約束も実現しない可能性を考えていました。僕はいつの間にか、彼女との約束を楽しみにしすぎない癖がついていたからです。

でも、その日、彼女は本当に料理を作ってくれました。「もう十分だよ」と言っても、いろいろな料理を作り続けてくれました。食べきれなかった料理は、僕の毎日のお弁当になりました。

彼女は最後に、「また作りたい」と言いました。

実際、そのあと料理を作ってくれたことは、1度や2度ではありません。

このときは、病気のことも、過去に破られた約束も、ほかの男性のことも考えませんでした。ただ、素直にうれしかったです。

明るい木の食卓に、ご飯と彩りのあるおかずを詰めた弁当箱、手料理の器、青い布と箸が並ぶ、真上から見た水彩イラスト。
約束を覚えて、料理を作ってくれた。そのときは、ただ素直にうれしかった。

いつも支える側だった僕が支えてもらった、という感覚とも少し違います。支える役割を離れて、一人の恋人として大切にされたように感じました。

うれしかったことと、負担が減ることは別

「また作りたい」という言葉も、僕にはうれしいものでした。僕が望んでいる将来は、結婚などの大きな約束だけではありません。「また今度」が彼女の口から自然に出てきて、二人とも次の時間を楽しみにできることです。

もちろん、料理を作ってくれたことで、過去のつらさがすべて消えたわけではありません。それでも、彼女は約束を覚え、僕のために時間を使ってくれました。それは、僕が実際に見た小さな変化です。

うれしかった出来事は、続ける理由の一つになります。ただ、うれしい出来事があっても、今ある負担を全部受け入れる必要はないと思います。約束を覚えてくれる行動が続いているか。そして、自分が安心して暮らせているかも見たいです。

過去の時間やお金を除いても、これから一緒にいたいか

料理を作ってくれた彼女を見て、僕は「一人の恋人として愛されている」と感じました。お金を介して会っているほかの男性とは、自分は違うのだと思いたくなりました。

しかし、そう信じたい気持ちが強いのも事実です。だからこそ、自分に都合よく受け取っているだけではないかとも思います。

僕は彼女を信じているのか。信じなければ、今まで使った時間やお金に耐えられないだけなのか。昔から周囲には「別れた方があなたのためになる」と言われてきました。アドバイスしてくれる人の方が冷静なのかもしれない。僕はすでに、サンクコストにとらわれているだけなのかもしれない。そう考えると、自分が分からなくなることがあります。

ここで別れたら、今まで費やした時間とお金が、すべてなかったことになるようで怖い。報われるまで続けたい。その気持ちがまったくないとは言えません。

ただ、付き合い続けても、過去に使った時間とお金が戻るわけではありません。別れたとしても、その間に感じた喜びや、過ごした時間まで消えるわけではありません。

過去を取り戻すために、これからの時間まで差し出すのか。過去の行動から小さな変化を確認し、これからも付き合いたいと判断しているのか。この二つは似ているようで違います。別れのLINEには優しい言葉があり、料理も作ってくれました。でも、それは今後の関係が必ず続くという保証にはなりません。

ノートの左ページに「過去を取り戻したい」、右ページに「これから一緒にいたい」を配置し、過去の時間やお金への思いと、今後の関係を選ぶ気持ちを比べた図。
ここまで費やした時間やお金と、これからも一緒にいたい理由は、分けて考えたい。

続けたい理由が、過去ではなく未来にあるかを確かめる

自分の気持ちを整理するため、僕は次のことを考える必要があると思っています。

「好きなのに別れを考えるのはおかしいのか」と迷っている人にも、考えてみてほしい問いです。全部にすぐ答えられなくてもかまいません。

  • 今までの時間やお金がなくても、現在の彼女と新しく付き合いたいと思うか
  • 今の関係が一年後や五年後も続いていて、自分は幸せだと思えるか
  • 彼女の変化を、期待ではなく実際の行動から確認できているか
  • 彼女を失うことより、特別な自分ではなくなることを恐れていないか
  • 過去を無駄にしないことが、これからの幸せより大きな理由になっていないか

続ける理由が、「ここまで支えたから」しか残っていない。そんなときは、過去を取り戻すために、これからの時間まで差し出す必要はありません。好きな気持ちが残っていても、望む将来が違うことはあります。続けられる関係が違うという理由で、別れを選んでもよいと思います。

半年変わらないなら、正直きついと思った

この先の半年も、今とほとんど変わらなかったら。それでも付き合いたいかと考えると、僕は正直きついと思いました。

半年だけでは大きく変わらないだろうという思いもあります。しかし、そのまま一年、五年と同じ関係が続くかもしれないと考えると怖いのです。これは僕の不安です。半年の経過から、その先の回復や関係を予測できるという意味ではありません。

僕が怖いのは、今日つらいことだけではありません。彼女を信じたい気持ちだけで、戻らない時間を差し出し続けることです。僕の方が年齢も上なので、将来について考えられる時間を失う不安もあります。

別れのLINEでは、彼女は未来のことをあまり考えたくないと書いていました。それは当時の気持ちであり、今も同じだと決めつけるつもりはありません。だからこそ、復縁できたことだけで安心したくないのです。現在の二人が将来の話をできるかを、確かめたいと思っています。

半年は、我慢する義務ではなく僕の区切り

この答えから、僕自身の気持ちが一つ分かりました。現在の関係を、そのまま受け入れているわけではないのです。僕は、二人の付き合い方が少しずつ変わる可能性まで含めて、今の関係を選んでいます。

だから、変化がなくても無期限に待つことを、覚悟とは呼びたくありません。

半年は僕の区切りで、読者が我慢すべき期間ではありません。すでにつらく、生活を保てないなら、その区切りまで待つ必要はありません。逆に、半年で病気が治るかどうかを、愛情や努力の採点にするつもりもありません。

二人で負担を減らし、将来を考えられる関係か

半年後、どのような関係になっていれば将来を考えたいか。

僕の答えは、お金の面でも精神的な面でも、どちらかが無理を続けなくてよいことです。フラットに付き合える関係を望んでいます。

ここでいうフラットは、誰にも頼らないことではありません。デート代を必ず半分ずつ払うことでもありません。支え合っていても、「無理」と言えば調整できる関係を望んでいます。援助を続けないと関係が壊れる。その怖さに縛られずにいたいのです。

彼女も、同じ将来を望んでいるか

別れのLINEにも、お互いに自分のことを大事にしていきたいという言葉がありました。ただ、そのとき彼女が望んでいたのは、関係を区切ることでした。僕が今望んでいるのは、それぞれの生活を大切にしながら交際を続けることです。似た言葉でも、同じ将来を望んでいるとは限りません。僕だけがそう願っていないか、彼女の今の気持ちも聞く必要があります。

今の僕たちは、何となくお互いに依存しているのだと思います。彼女は僕の支えを必要とし、僕は必要とされることで自分の居場所を感じている。彼女だけが依存しているのではありません。

お互いに頼りきらなくなることには、寂しさもあります。強く必要とされるほど、愛されているように感じてしまう自分もいるのだと思います。

でも、本当に確かめたいのは、支える役割だけに縛られなくなったときの気持ちです。

恋人以外の支えも借りながら、それぞれの生活を保てるようになり、気持ちや時間に余裕が生まれる。その「人生の余白」を、それでも一緒に過ごしたいと思えるか。

助けが必要なときは頼り合いながらも、無理を言葉にできる。そのうえでも一緒にいたいなら、今より冷静に考えられそうです。本当にこの人が好きだから選んでいるのか、と。

「僕の生活」と「彼女の生活」を表す二つの家から、二人分の椅子とカップがある共有の庭へ道がつながる図。恋人以外の支えも大切にする関係を表している。
誰にも頼らないことではなく、「無理」と言えて、二人で調整できる関係を望んでいる。

迷っているなら、続けるために必要なことを具体的にする

「いつか二人の関係がよくなるはず」だけでは、待ち続けることになります。安全に話し合える関係なら、何に困っているかを具体的にしてみてください。何が変われば続けられるかも、考えてみてほしいです。僕も次のようなことを相談したいと考えています。すでに全部できている、という話ではありません。

  • 困っている出来事と、睡眠・仕事・お金への影響を書き出す。自分が守りたい生活も整理する
  • 会えなくなったときの連絡方法を決める。落ち着いてから次の予定を相談する方法も考える
  • 自分も「つらい」「今日は会えない」と伝え、無理な予定や金銭的な負担は引き受けない
  • 本人の希望や状況も踏まえ、家族・友人・医療機関など恋人以外の支援を相談する
  • お互いが交際を望んでいるか、これからどんな生活をしたいかを話す時間をつくる
  • 自分の負担を見直す時期を決め、それまででも限界を感じたら判断し直す

伝えたあとに、負担が減ったかを確かめる

たとえば僕なら、「体調が悪いときに無理に会ってほしいわけではない。ただ、会えるか分からず待ち続けるのはつらい。難しいと分かった時点で、一言送れる方法を一緒に考えたい」と伝えると思います。

これらは彼女を試すためではなく、二人が無理なく続けられる形を探すための相談です。話し合ったという事実だけでは、判断できません。その後、自分の負担が実際に減ったかまで見たいと思います。

うつ期に相手を支えるときも、何でも引き受ける必要はありません。僕が意識してきた距離感は、【体験談】躁うつの彼女の支え方|うつ期のパートナーにできる「しない」優しさ10選にまとめています。

覚悟があるなら支えてほしい、だけでは足りない

最初は、大変さを理解する覚悟があるなら、彼女を支えてほしいと思っていました。そんな記事にするつもりだったのです。でも、自分の気持ちを掘り下げると、覚悟だけでは足りないと思うようになりました。

何でも我慢すること。二人の付き合い方が変わるまで無期限に待つこと。自分の時間やお金を差し出すこと。それでしか続けられないなら、僕は人にその関係を勧められません。

支える側だけが覚悟を決めても、二人の関係は一人では決められません。自分の限界を伝えることも、相手の意思を尊重することも大切です。好きでも離れると決めることも、同じくらい大切だと思います。

別れるために、相手を嫌いになる必要はありません。相手が苦しんでいることを理解していても、今の付き合い方では自分の人生を守れない。その理由を小さく扱わないでほしいです。

心身の状態が心配なときは、一人で抱え込まない

相手の心身の状態が心配なときは、その気持ちを軽く扱わず、主治医や医療機関、頼れる支援者に相談してください。支える側も利用できる相談先は、厚生労働省「電話相談」で確認できます。相手を支えるために、交際を続けることだけが選択肢だと考えなくてよいと思います。

差し迫った危険があり、救急対応が必要な場合は119番を利用してください。

まとめ|「好きか」だけでなく、自分も大切にされる関係かで考える

僕はまだ、彼女を諦めきれません。変わりたいという言葉だけを聞いているわけではないからです。約束どおり、何度も料理を作ってくれました。「また作りたい」とも言ってくれました。そういう姿も、僕は実際に見ています。

それでも僕の気持ちには、必要とされたい思いが混ざっています。ほかの人には負けたくない気持ちもあります。過去を無駄にしたくないサンクコストも、ないとは言えません。僕が付き合い続けていることは、あなたも我慢すべき理由にはなりません。

「別れた方がいいか」と迷っている人へ、今の僕が伝えたい結論は、この三つです。

  • 安全に断ったり離れたりできない関係なら、改善を待つより安全確保と相談を優先する
  • 生活を削る状態が続き、負担を減らす見通しも持てないなら、好きでも別れを考えていい
  • 互いに交際を望み、自分の生活も守れている。負担を減らす行動も見えるなら、続ける選択もできる

僕が望むのは、必要とされることだけを理由に続ける関係ではありません。それぞれの生活を大切にしながら、人生の余白を一緒に過ごしたいと思える関係です。二人がそこへ近づいているかを見たい。でも、変わらないまま無期限に待つつもりはありません。

彼女だけでなく、自分の戻らない時間も大切にしていい。病名でも、ここまで我慢した長さでもありません。これからの自分の生活を守れるかを基準に、選んでほしいと思います。

支えると言う言葉に違和感はありますが、それでも僕は支えたいと思います。

参考にした公的情報

以下は、病気について知ることや相談先を探すために参照した情報です。この記事の交際・別れの判断材料は、医療機関が示した基準ではありません。

双極性障害の症状や治療の基本は、次の情報を参照しました。国立精神・神経医療研究センター「双極性障害(躁うつ病)」です。

身近な人も傷ついた気持ちを抱え込まないことや、相談先についても確認しました。厚生労働省「家族や友人が双極性障害になったとき」を参照しています。

本人や支える側が相談できる窓口は、厚生労働省「電話相談」で確認できます。受付時間などは変更されることがあります。利用前に、公式ページで最新情報をご確認ください。