僕は双極性障害の彼女と付き合う中で、「これは病気ではなく、甘えなのではないか」と悩んだことがあります。
彼女の希望には応えているのに、僕の希望は後回しになることが続いたからです。
僕にも、何が病気で、何が甘えなのかは分かりません。ただ、彼女の言うことを何でも受け入れて支え続けることが、本当に彼女のためになるのかは考えるようになりました。
この記事では、双極性障害の彼女を理解しながらも、自分ばかりが我慢しないためのやさしい付き合い方を考えます。
相手を責めずに気持ちを伝える方法や、支えすぎない距離感の取り方も、僕自身の体験をもとにお伝えします。
※この記事は、双極性障害のある彼女と付き合う中で僕が感じたことを書いた体験談です。症状や関係性は人によって異なります。病気や治療について気になることは、本人の主治医などの専門家に相談してください。
双極性障害では、活動的になる躁状態と、憂うつで無気力になるうつ状態を繰り返すことがあり、現れ方や治療は人によって異なります。症状や治療の基本は、国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト|双極性障害」でも確認できます。
双極性障害の彼女を「甘えではないか」と思う僕は冷たいのか
「甘えではないか」と感じたからといって、冷たい恋人だとは思いません。
僕が苦しかったのは、彼女の体調不良や返信の遅さそのものではなく、二人の予定や気持ちが対等に扱われていないように感じたことでした。
その理由を、ここから僕の体験をもとに振り返ります。
うつ状態のときに返信が難しくなる理由や、未読無視された側が考えたいことは、「双極性障害の彼女が未読無視する理由|責める前に考えたいこと」で詳しく書いています。
双極性障害の影響なのか、甘えなのか迷った違和感
僕が「甘えでは」と感じた一番の理由は、できることとできないことに偏りがあるように見えたからです。
彼女は何もできないわけではありません。自分が興味を持ったことには動いていたため、その違いを当時の僕には理解できませんでした。
自分のやりたいことには動けるのに、僕の誘いには乗ってこない
彼女が行きたい場所には、急でも動こうとします。自分が会いたいときは電話をしてきますし、不安なときや困ったときには、僕を強く頼ることもあります。
ところが、僕から「ここへ行こう」と提案したときは、返信が止まることがありました。「行きたいね」とは言ってくれるけど、その時になると「寝ていた」「体調が悪かった」と言われます。
急な誘いに応じたときには、「今日は付き合ってくれてありがとう」と言ってくれました。
一方で、僕が「今度一緒に〇〇へ行きたい」「一緒にご飯を作ろう」と提案しても、約束がそのまま流れてしまうことが続きました。
「今日は難しいけれど、この日にするね」といった言葉があれば、受け止め方は違っていたと思います。
楽しみにしていた約束が流れるのがつらかった
特につらかったのは、北海道旅行や花火大会など、僕が楽しみにしていた予定が流れてしまったことです。
寝ていたことも、体調が悪かったことも、本当だったのだと思います。それでも、僕が予定を空けて待つことが繰り返されると、納得できない気持ちが残りました。
また断られるのが怖くなり、自分から誘えなくなった

僕は彼女に断られることが続くうちに、傷つくのが怖くなり、自分から遊びや食事へ誘うことが減っていきました。
「また断られるかもしれない」と考えると、誘う前から諦めてしまうようになったのです。
しかし、我慢して誘わなくなるだけでは、二人の関係がよくなるわけではありません。相手の体調を理解することと、自分の寂しさや不満をなかったことにすることは、別の問題だと思います。
SNSは動いているのにLINEが来ないと余計に分からなくなった
LINEには返信がないのにSNSだけが更新されていると、「僕とは話したくないのでは」と考えてしまいました。
LINEは未読のままなのに、SNSは更新されている日がありました。その様子を見ると、「何もできないわけではなく、僕とのやり取りだけ避けているのでは」と感じてしまいます。
ただ、SNSへの短い投稿と、相手の気持ちを考えながら返す個別のLINEでは、必要な気力や感じる負担が同じとは限りません。
この違いについては、「双極性障害の彼女がSNSだけ更新する理由|LINEが来ないときの受け止め方」で詳しく書いています。
彼女の都合に僕が合わせることが当たり前になっていた
問題は、彼女が動けるかどうかだけではありませんでした。僕がいつも合わせる側になっていたことも、苦しさの大きな理由でした。
急な誘いでも予定を調整し、翌日が仕事でも、できるだけ応えようとしていました。ドタキャンされても責めず、未読無視も「病気だから仕方がない」と考えようとしていました。
嫌だったことを伝えると負担になると思い、飲み込むことも増えていました。しかし心の中では、「自分が同じことをしたら怒るのに」と思っていました。
頼られるうれしさと、振り回される疲れが同時にあったのだと思います。
相手を責めないことと、自分の希望を伝えないことは違います。連絡の境界線については、「恋人へのLINEが負担になるとき|休日の連絡から考えた境界線」にも書いています。
本人も「病気なのか甘えなのか分からない」と話していた
病気か甘えか分からずに悩んでいたのは、僕だけではありませんでした。
彼女自身も、自分の行動が双極性障害によるものなのか、甘えているだけなのか分からないと話していたからです。
彼女から「自分でも分からない」と言われたとき、本人も自分を持て余しているのだと思いました。その言葉を聞くと、単純に彼女を責めることはできませんでした。
一方で、「分からない」のまま同じことが続いていくことへの不安も残りました。
僕が病気について調べるほど、彼女の行動がすべて症状に見えることがあります。反対に、僕が疲れているときには、すべてが甘えに見えることもありました。
病気か甘えかより、今の関係を続けられるかで考える
僕は、病気か甘えかを判定することより、この関係を無理なく続けられる状態かを見るようになりました。
病気だと決めれば、僕が何でも我慢しなければならない気がします。甘えだと決めれば、彼女を責める気持ちが強くなります。どちらに決めても、二人の間で起きている問題は解決しません。
僕が見るようになったのは、次の4つです。
- 同じ問題について、二人で考えられるか
- 一方だけが我慢する関係になっていないか
- お互いの希望や困りごとを伝えられているか
- 支える側の仕事・睡眠・生活まで崩れていないか

この4つを全部できれば理想だけど、実際はなかなか難しいんですよね。
診断の線引きをするのではなく、今の関係に起きていることを見る。その方が、僕にも彼女にも必要な話し合いが見えやすくなりました。
支え続けることが彼女の自立を妨げる場合もあると思った
支えることが、いつでも彼女のためになるとは限らないと思うようになりました。
僕が先回りすることで、彼女が自分で考える機会を減らしている可能性もあると思いました。
何とかしたいという気持ちが見えないことが一番つらかった
当時の僕には、彼女が状況を変えようとしているようには見えませんでした。
しかし後になって、僕がいつものように先回りしなかったときに、彼女が自分で動く姿を見ることがありました。
彼女の中では、ずっと何とかしようとしていたのかもしれません。
ただ、少なくとも当時の僕には、その気持ちが見えていませんでした。
相手が自分で動ける余白を残す
その後、たまたま僕の仕事が忙しくなり、連絡や会う回数が少なくなった時期がありました。
その間に彼女は、自分に無理なくできそうな仕事を探し、自分で応募していました。
券売機があって、人とあまり話さなくてよさそうな「某牛丼チェーン店」で働こうかな
人との会話が少なく、自分にも続けやすそうな仕事を、彼女なりに考えて選ぼうとしていたのだと思います。

この出来事から、いつも手を差し伸べ続けるだけでなく、相手が自分で考えて動ける余白を残すことも大切だと感じました。
ただし、我慢して何も伝えずに距離を置くだけでは、関係はよくなりません。相手の体調を理解することと、自分の寂しさや不満をなかったことにすることは、別の問題だと思います。
支えることと、本人の課題を肩代わりすることは違う
彼女を助けることと、彼女が向き合うべき問題を僕が引き受けることは別です。
僕がすべてを解決すると、僕が疲れるだけでなく、彼女が自分で対処する機会も失われます。
- 彼女から連絡が途切れるたびに、僕のほうから連絡して関係をつなぎ止める
- 彼女の予定に合わせて、僕が生活を変える
- 困りごとや金銭問題を、代わりに解決する
この状態が続けば、恋人というより、彼女の生活全体を支える人になってしまいます。
自分にできるのは、彼女が動こうとしたときに、一人では難しい部分だけを支えることまでだと思います。
僕が考える「距離を置く」とは
僕が考える距離の置き方は、完全に連絡を断つことではありません。
彼女の希望や困りごとに、僕が何でも応える関係から少し離れ、自分でできることは本人に任せながら、本当に危険な状態には気づける関係を残したいからです。
具体的には、次のように関わり方を変えます。
- 自分の仕事や予定を優先する
- 返信がないたびに追いLINEをしない
- 彼女が自分でできることは本人に任せる
返信がないときの具体的な連絡方法は、「双極性障害の彼女から返信がないときのLINEの返し方10選」で紹介しています。
僕の距離の置き方は、「任せる」「見守る」「危険時は周囲につなぐ」の三段階です。

連絡を完全に絶たないのは、本当に危険なときに気づくため
距離を置くとしても、僕は彼女との連絡を完全に絶つつもりはありません。
普段と大きく違う様子や、本当に危険な状態になったときに、変化を察知できるつながりは残しておきたいからです。
普段の返信間隔や生活リズムを知っていれば、いつもと大きく違う変化に気づけることがあります。
- 家族や友人とも長く連絡が取れていない
- 普段とは明らかに違う内容の連絡や投稿がある
- 食事や睡眠が大きく乱れている
完全に連絡を絶っていると、こうした変化に気づけないことがあります。
危険を感じたときは僕一人で抱え込まない
本当に危険だと感じたときは、恋人だけで対応しないことが大切です。
彼女の安全を僕一人が背負うことはできません。ただ、普段の様子を知る一人として、明らかにいつもと違う状態には気づける関係でいたいと思っています。
- 家族に、普段と違う様子を伝える
- 共通の友人に、連絡が来ていないか確認する
- 本人の主治医や医療機関への相談を考える
- 地域の相談窓口を利用する
- 差し迫った危険を感じた場合は、緊急の支援を求める

相談先が分からない場合は、厚生労働省の「まもろうよ こころ|電話相談窓口」から、利用できる窓口を確認できます。
連絡や安全面だけでなく、金銭面でも、どこまで支えるかを決めておく必要がありました。
僕は現金を渡さず、最低限の生活支援にとどめる
彼女がお金に困っても、現金を渡すことと、最低限の生活を助けることを分けて考えています。
現金を渡し続けると、僕への依存が強くなったり、金銭問題の根本的な解決にならなかったりする可能性があるからです。
これはすべての恋人に当てはまる正解ではなく、僕が自分の生活を守りながらできる支え方です。
食事の差し入れはしても、生活費は肩代わりしない
目の前の最低限の生活を助けることと、彼女の生活全体を引き受けることは分けます。
- 食事を取れていないなら、食べやすいものを届ける
- 必要であれば、ネットスーパーで食品を送る
- 遊ぶためのお金は渡さない
- 家賃や生活費を継続的に肩代わりしない
- 同じ問題が続く場合は、家族や公的な相談先につなぐ

生活費、仕事、住まいなどの問題が続く場合は、恋人一人で支えるのではなく、公的な相談先につなぐことも必要だと思っています。
厚生労働省の「生活困窮者自立支援制度」では、生活や仕事、住まい、家計などに関する支援が案内されています。
距離を置くか迷ったときに確認したいこと
距離を置くか迷ったときは、彼女の状態と、支えている自分の状態を分けて確認することが大切です。
彼女の生活が崩れているなら、必要な支援につなぐことを考える必要があります。一方で、僕自身の仕事や睡眠に影響が出ているなら、彼女の状態にかかわらず、関わり方を見直す必要があります。
病気か甘えかを判定するのではなく、彼女に必要な支援と、僕が守るべき限界を分けて考えます。

彼女の生活や状態について確認すること
彼女については、「僕の言うことを聞いてくれるか」ではなく、普段の生活から大きな変化がないかを確認します。
- 眠る時間や起きる時間が、普段より大きく変わっていないか
- 食事を取れているか
- 本人が話せる範囲で、通院や服薬が大きく乱れていないか
- 家族や友人とも連絡が取れない状態になっていないか
- 普段とは明らかに違う連絡やSNS投稿がないか
これは彼女を監視したり、僕が病気の状態を判定したりするための確認ではありません。普段と大きく違う変化に気づき、必要なときに家族や専門機関につなぐための確認です。
支えている自分について確認すること
自分については、「もっと頑張れるか」ではなく、今の関係によって自分の生活や心がどれだけ影響を受けているかを確認します。
- いつも自分だけが予定を合わせ、自分からの提案が後回しになっていないか
- 翌日に仕事がある日でも、急な誘いや要求を断れなくなっていないか
- 返信がないたびに、不安から何度も追いLINEをしていないか
- 彼女からの連絡を待つことで、自分の気分や仕事、睡眠に影響が出ていないか
- 金銭的な支援によって、自分の生活まで圧迫されていないか
- 好きという気持ちより、義務感や責任感で支えることが増えていないか
- 自分一人で、彼女の安全や生活のすべてを守ろうとしていないか
自分に当てはまる項目が増えているなら、完全に連絡を断たなくても、関わり方を少し変える必要があります。
急な誘いには応じない。追いLINEを減らす。自分の仕事や予定を優先する。できることから距離を調整していいと思います。
彼女について気になる項目が多い場合は、僕一人ですべてを引き受けず、家族や主治医、相談機関につなぐことを考えます。
自分について当てはまる項目が多い場合は、自分の仕事や生活を守るために、連絡の頻度や急な誘いへの対応を見直します。
まとめ|病気を理解しても、自分の違和感を無視しない
最後に、彼女を理解しながら僕自身の生活や心も守るために、今考えていることをまとめます。
自分の違和感をすべて「病気だから」で消す必要はない
自分の気持ちを無視して支え続けても、いつか限界が来て、関係そのものが壊れる可能性があります。
以前の僕は、彼女を責めてはいけないと思っていました。どんな行動にも病気の理由を探し、自分が我慢すれば関係を守れると考えていました。
それでも、寂しさや怒りはなくなりませんでした。むしろ、本音を抑えるほど「これは甘えではないか」と思う気持ちが強くなりました。
違和感が積み重なっているときは、「病気だから仕方がない」と飲み込まず、自分が何につらさを感じているのかを整理して、相手を責めない言葉で伝えることが大切だと思います。
何でも受け入れるのではなく、必要な支援だけを残す
今は、自分の違和感や限界を認めたうえで、彼女と接する必要があると感じています。
彼女のつらさを理解しようとすることと、僕がつらいと伝えることは両立できます。彼女を見捨てずに、自分の生活と心を守ることも必要です。
そのためには、急な誘いに毎回答えたり、困りごとをすべて代わりに解決したりするのではなく、自分が無理なく続けられる支援の範囲を決めておく必要があります。
本人ができることは任せ、一人では難しい部分だけを支える関わり方に変えていくことが、二人の関係を長く続けるために必要だと思います。

彼女を見捨てず、自分も壊れない距離の置き方
双極性障害による行動なのか、本人の甘えなのかを、僕には断定できません。
彼女自身も「自分でも病気なのか甘えなのか分からない」と話していました。
だからこそ僕は、病気か甘えかを判定するのではなく、二人の関係が対等か、彼女が自分で生きる力を失っていないかで考えたいと思っています。
僕が考える「距離を置く」とは、彼女との連絡を完全に断つことではありません。彼女の希望や困りごとに、僕が何でも応える関係から少し離れ、自分でできることは本人に任せることです。
本当に危険なときには気づける関係でいたいですし、食べるものすらないときには、本人の希望を聞いたうえで食事を届ける程度のことはしたいと思っています。
ただ、現金を渡したり、生活費を肩代わりしたりすることは、彼女の自立につながらないかもしれません。
何でも助けるのではなく、自分でできることは見守る。必要なときだけ手を差し伸べる。
彼女を見捨てず、僕自身も壊れないために、少し離れた場所から支える。それが、今の僕が考えている距離の置き方です。
