双極性障害と向き合うために知っておきたいアドラー心理学

”双極性障害と向き合うために知っておきたいアドラー心理学”のブログアイキャッチ画像 テーマ: 「ふたりで一緒に歩く」「完璧じゃなくていい」「寄り添う優しさ」 ビジュアル要素: 二人が背中合わせで座っている構図 優しいトーンの背景(淡い青~オレンジのグラデーション) 少女アニメ風のキャッチーなキャラクター 全体の雰囲気: ふんわり、あたたかい 押しつけない、やさしい 重すぎず、未来を感じる

双極性障害の彼女を持つ僕がアドラー心理学と出会ったのは、確か「嫌われる勇気」というドラマを見た時にだったと思います。
フジテレビ系で放送されていた刑事ドラマで、正直、最初はただの推理モノだろうと思っていました。
でも、観ているうちに「このドラマ、すごいことを言っているな」と感じるようになりました。
今思えば、それが“アドラー心理学”との最初の出会いでした。

その頃はアドラー心理学なんて言葉すら知りませんでしたが、興味がわいて、原作の本も手に取りました。
読んでみると、仕事でも人間関係でもすぐに役立つことばかり。
たとえば、誰かに嫌なことを言われたときも、「この人はどういう目的でこういう言動をしているんだろう?」と冷静に分析できるようになったんです。

そんなアドラー心理学が、今、思いがけない形で自分の人生に生きています。
それは、双極性障害を抱えた彼女と向き合う毎日のなかで。
感情の波に戸惑うこともあるけれど、あのとき学んだ考え方のおかげで、少しだけ肩の力を抜いて彼女と寄り添えるようになりました。

この記事では、そんな僕自身の体験を交えながら、
「双極性障害と向き合うために知っておきたいアドラー心理学のヒント」
を、できるだけわかりやすく紹介していきたいと思います。

1.双極性障害の恋人と向き合う難しさの中で思い出したアドラー心理学

双極性障害の恋人と向き合う毎日は、想像していたよりもずっと繊細で、難しいものでした。

躁うつ×ADHD×HSPが持つ「繊細すぎる心」との付き合い方

昨日まではあんなに笑っていたのに、今日は突然LINEも既読にならない。
楽しい未来の話をしていたかと思えば、次の日には「全部どうでもいい」と言われてしまう。
そんな感情のジェットコースターに、最初はただただ戸惑うばかりでした。

「どうしたらまた笑ってくれるんだろう」
「自分が何か悪いことをしたんだろうか」

そんなふうに悩みながら、必死に支えようとするけれど、
頑張れば頑張るほど、なぜか距離が開いていく気がして、苦しくなる。

恋人だからこそ、誰よりも力になりたいと思う。
でも、双極性障害は「気持ち」や「努力」だけではコントロールできない病気です。
こちらがどれだけ頑張っても、どうにもならないことがある。
それを理解するのには、かなり時間がかかりました。

そんなとき、ふと思い出したのが、アドラー心理学で学んだ「課題の分離」という考え方でした。
「相手の課題と自分の課題を分ける」。

このシンプルだけど深い考え方が、僕を救ってくれたのです。

次の章では、そんなアドラー心理学のエッセンスを、実体験も交えながらわかりやすく紹介していきます。

2.アドラー心理学とは?

アドラー心理学とは、オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーによって提唱された心理学の考え方です。
よく「トラウマを否定する心理学」「勇気づけの心理学」とも呼ばれています。

アドラー心理学の特徴は、何よりも前向きであること。
たとえば、「過去の経験が今の自分を決めるわけじゃない」と考えるんです。
過去がどうであれ、人は“これから”を選び取っていける。
そこには、どんな人にも可能性があるという強い信頼が込められています。

また、アドラーはこうも言っています。
「すべての悩みは対人関係の悩みである」 と。

恋人、家族、友人、職場の人──
悩みの多くは、誰かとの関係の中で生まれています。
だから、相手との関わり方や、自分のあり方を見つめ直すことで、悩みを軽くすることができる。
これが、アドラー心理学の基本的なスタンスです。

アドラー心理学のなかでも特に役立つ考え方として、次の3つがあります。

  • 課題の分離:「相手の問題」と「自分の問題」を分ける
  • 目的論:行動にはすべて“目的”があると考える
  • 共同体感覚:「競争」ではなく「仲間」として生きる感覚

これらの考え方は、
双極性障害を持つ恋人と向き合うときにも、すごく大きなヒントになってくれました。

次の章からは、具体的に「どう活かしたか」について、僕自身の体験を交えながらお話していきます。

3.双極性障害の恋人と向き合うために支えになった3つのアドラー心理学の考え方

双極性障害の恋人と向き合うなかで、何度も悩みました。
感情の波に戸惑い、どう支えたらいいのかわからなくなることも。

アドラー心理学の3つの考え方を、自分のパートナーに置き換えてみると。

  • 相手と自分の問題をきちんと分ける
  • 行動の裏にある本当の気持ちを考える
  • 支えるのではなく、一緒に生きる大切な人だと捉える

こういうことなんだなぁと自分に落とし込むことで、心の持ち方がずいぶん変わりました。

この記事では、僕自身が実感した
「双極性障害の恋人と向き合うために役立ったアドラー心理学のヒント」を紹介します。

ヒント①|課題の分離:「相手の問題」と「自分の問題」を分ける

双極性障害の恋人と付き合っていると、どうしても「なんとかしてあげたい」という気持ちが強くなります。
元気がない彼女を見れば、なんとか励まそうとするし、急に突き放されたときには、理由を探して必死に関係を修復しようとしてしまう。

でも、アドラー心理学では「課題の分離」という考え方を大切にします。

課題の分離とは、簡単に言うと「それは誰の問題か?」を見極めること。

・彼女が急に落ち込んで
 寝込んでしまった
・彼女が連絡を返してくれない
・彼女が将来に悲観して

 「もうムリぃ~」とつぶやいた

これらはすべて、「彼女自身の課題」です。
彼女が自分の人生をどう捉えるか、どう向き合うかは、彼女が選ぶべきこと。
もちろん、支える気持ちは持っていていいけれど、彼女の気持ちを“代わりに”動かすことはできません。

一方で、僕にできる課題もちゃんとあります。

・彼女が苦しいとき、
 そっとそばにいること
・必要以上に追い詰めないこと
・自分自身の心の健康を守ること

これらは、僕自身の課題です。
だから、相手を変えようとするのではなく、「自分にできることだけに集中する」。
それが、課題の分離の考え方です。

この考え方を知ってから、無力感や罪悪感に押しつぶされることが少し減りました。
できることを大切に、できないことは手放す。
それが、恋人として無理なく支え続けるための、小さなコツなのだと今では思っています。

ヒント②|目的論:「なぜこの行動をするのか」を考える

アドラー心理学には「目的論」という考え方があります。
これは、**「人の行動には必ず目的がある」**というものです。

最初にこの考え方に触れたとき、正直ピンと来ませんでした。
でも、仕事の中で試してみると、少しずつその意味がわかるようになりました。

  • 理不尽なパワハラをしてくる上司
  • 生意気な態度をとる後輩
  • 何度言っても言うことを聞かない課員

こういう人たちを前にしたとき、以前の僕ならイライラしていました。
でも、目的論を知ってからは、「この人はなぜこういう行動をとっているんだろう?」と考えるようになったんです。
もしかしたら上司は「自分の立場を守りたい」と思っているのかもしれないし、
後輩は「自分を認めてほしい」という気持ちから強気な態度を取っているのかもしれない。
表面的な言動の奥に、そんな“目的”が隠れていると考えると、不思議と心が落ち着きました。

そして今、その考え方は、
双極性障害の彼女と向き合うなかでも、ものすごく生きています。

・突然LINEを全部削除してしまった
・大切にしていた約束をドタキャンされた
・元気だったのに、急に冷たくなった

こんなとき、つい僕たちは「彼女の気まぐれだ」とか、「自分に愛情がなくなったのかな」と考えてしまいがちです。
でも、アドラー心理学の「目的論」という考え方を知ると、少し違った見方ができるようになります。

目的論とは、「人の行動にはすべて目的がある」という考え方です。

つまり、

  • LINEを削除するのは「これ以上傷つきたくない」という防衛かもしれない。
  • ドタキャンするのは「心がどうしても追いつかない」というSOSかもしれない。
  • 冷たくするのは「これ以上期待されるのが怖い、負担をかけたくない」という気持ちの現れかもしれない。

表面だけを見るとわからないけれど、
行動の奥には、本人なりの“守りたいもの”や“求めているもの”があるんです。

これを知ったとき、僕は少しだけ彼女を責める気持ちが薄れました。
同時に、「どうしてそんな態度を取るの?」と問い詰めることも減りました。

彼女の行動を「悪い」「間違っている」とジャッジするのではなく、
「この行動の奥には、どんな目的や気持ちがあるんだろう?」と考える。
そうすると、怒りや悲しみよりも、少しだけ“理解しよう”という気持ちが湧いてきます。

もちろん、全部を理解できるわけじゃないし、つらいときはつらいです。
でも、目的論を知っているだけで、相手を見る目も、自分の心の在り方も、少しだけ優しくなれる気がしています。

ヒント③|共同体感覚:「一緒に生きる仲間」という視点

僕の彼女は、夜の世界で働いています。
前に別の記事でも書きましたが、彼女の周りには本当に迷惑な客がたくさんいます。
恋人気取りで絡んでくる人、無理な要求を押し付けてくる人──
そんな人たちから、どうにか彼女を守りたい。
最初の頃の僕は、ただその一心で動いていました。

休日にLINE連投する迷惑客たち 休日にLINE連投する迷惑客たち──夜職の彼女を守るために

でも、あるとき気づいたんです。
僕が必死に遠ざけようとすること、彼女にあれこれアドバイスという名の指示をすることで、
かえって彼女の自由な行動を邪魔してしまっているかもしれない。
彼女は僕を心配させたくなくて、余計に悩んでしまっているかもしれない。

そんなとき、アドラー心理学で学んだ「課題の分離」という考え方がまた頭をよぎりました。

これは彼女自身が向き合うべき課題なんだ。
僕は僕の課題(彼女を信じて見守ること、元気づけること)に集中しよう。

そしてもう一つ、大きな支えになったのが、「共同体感覚」という考え方でした。

つい、「支えなきゃ」「助けてあげなきゃ」という気持ちが強くなりがちですが、
それは、どこかで彼女を一方的に“守るべき存在”と捉えてしまっているのかもしれません。

でも彼女は、弱い存在なんかじゃない。
双極性障害という生きづらさを抱えながらも、
僕と同じように、悩みながら、必死に自分の人生を生きようとしている、ひとりの人間です。

そう思えたとき、
「僕たちは一緒に生きる仲間なんだ」という感覚が、自然と芽生えてきました。

無理に励まさなくてもいい。
無理に答えを見つけなくてもいい。
そっと隣にいて、「今日も生きてるね」って、それだけでいい。

一緒に小さなことを喜んだり、
落ち込んだときには「しんどいね」と共感したり。
そんなふうに、ただ並んで歩く感覚を持てたことで、ふたりの関係は、以前よりずっと自然で、あたたかいものになりました。

共同体感覚を持つこと。
それは、恋人を支えるために必要なものではありません。
ふたりで一緒に、この不安定な世界を歩いていくための、大切な力だと、今は心から思っています。

4.双極性障害の恋人と向き合うときにアドラー心理学を取り入れてラクになったこと

アドラー心理学を知って、実際に自分の考え方や行動を少しずつ変えていったことで、
恋人との向き合い方も、自分自身の心の持ち方も、大きく変わりました。

たとえば、彼女の感情の波に、前みたいに一喜一憂しなくなりました。

以前の僕は、彼女が落ち込めば一緒に落ち込み、
彼女が怒れば、自分を責めて、必死に理由を探していました。
でも、「課題の分離」の考え方を取り入れてから、
彼女の感情は彼女の課題、僕は僕のできることに集中する、そう意識できるようになったんです。

彼女が急に塞ぎ込んだときも、
「なんとかして元気にしなきゃ」と焦るんじゃなくて、
「そばにいるだけでいい」と思えるようになりました。
それだけで、自分の心も、彼女との関係も、ずいぶんラクになったと感じています。


また、「目的論」を意識することで、
彼女の行動を必要以上に悪く受け取らなくなりました。

たとえば、急に冷たくされたときも、
「嫌われたのかもしれない」と決めつける前に、
「何か彼女なりの理由があるのかもしれない」と一呼吸置けるようになった
そのおかげで、無駄な喧嘩やすれ違いも減りました。


さらに、「共同体感覚」を大切にするようになったことで、
ふたりで一緒に生きるという感覚が、自然と育ってきた気がします。

無理して彼女を引っ張るんじゃなくて、
彼女が立ち止まったら僕も立ち止まる。
彼女が歩き出したら、また一緒に歩き出す。
そんなふうに、肩を並べるイメージで過ごせるようになったんです。

完璧な支え役になんてなれない。
でも、隣で一緒に笑ったり、泣いたりすることならできる。
そんなふうに思えるようになったのは、アドラー心理学のおかげだと、心から感じています。

5.おわりに|完璧を目指さないでいい。寄り添うだけで十分

双極性障害の恋人と向き合っていると、つい完璧を目指してしまいがちです。
少しでも笑わせたい、支えたい。。。そんな気持ちでいっぱいになる。

でも、どれだけ頑張っても、うまくいかない日もある。
優しくしても届かないときもある。

そんなとき、アドラー心理学が教えてくれたのは、
「完璧を目指さなくていい」ということでした。

無理に励まさなくていい。
無理に答えを出そうとしなくていい。
ただ隣にいて、「今日も一緒にいるね」と思えるだけでいい。

彼女が笑ったら笑う。
泣いたら「しんどいね」と声をかける。
怒ったら、静かにそばにいる。

それだけで十分だと思えるようになりました。

恋人は守るべき存在ではありません。
一緒に生きていく、かけがえのない仲間です。

完璧じゃなくていい。
そのままの自分で、そっと寄り添うこと。
それが、僕たちにとって一番の支えになっています。

あとがき

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

双極性障害の恋人と向き合う毎日は、思い通りにならないこともたくさんあります。
でも、無理に答えを出そうとしなくてもいい。
隣にいるだけで、ちゃんと意味がある。
そんなふうに思えるようになったのは、アドラー心理学のおかげでした。

この記事が、同じように悩んでいる誰かにとって、
少しでも心を軽くするヒントになれたらうれしいです。

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焦らず、力を抜きながら──
そんなふうに恋を育てていく感覚が、きっと伝わると思います。

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