HSPで眠れないのはなぜ?考えすぎる夜に試したい対処法7選

眠れない夜にベッドで考え込むHSPの女性と「今すぐ試せる対処法7選」の文字

「疲れて帰ってきて、眠たい。でも、今日あったことを考えてしまって寝られないのがつらい」

HSPの彼女が、眠れない夜について話してくれた言葉です。僕が「眠れないとき、頭の中では何を考えているの?」と聞くと、彼女はこう答えました。

りりたん
りりたん

「心で考えていることと、頭で考えていること。その二つが、いつも一緒に巡っている」

数時間前に「今度、花火大会へ行こうか」と約束した日も、彼女は家に帰るまで「遅刻しないだろうか」「忘れないようにしなきゃ」と考えていたそうです。楽しみな約束なのに、同時に失敗しないための心配も動き続けていました。

LINEが既読無視や未読無視になると、「何か悪いことをしたかな」と気になって仕方がないとも話していました。相手から返事がない時間にも、頭の中では理由を探し続けてしまうのです。

この記事では、彼女から聞いた体験や実際にしている工夫と、厚生労働省や睡眠医療機関などの資料で調べた対処法を分けて紹介します。僕自身がHSPとして試して効いた、という体験談ではありません。

HSPの感じ方や眠れない原因には個人差があります。ここで紹介する内容は一般的なセルフケアであり、診断や治療の代わりになるものではありません。

HSPの彼女に聞いた「眠れない夜の頭の中」

HSPは「Highly Sensitive Person」の略で、周囲からの刺激を受け取りやすい気質を表す言葉です。病名や医学的な診断名ではなく、感じ方には個人差があります。

心で考えることと、頭で考えることが同時に巡る

彼女を花火大会に誘ったとき、自分の中で「心」と「頭」が別々に動いているように感じると話していました。

  • 心では「花火大会が楽しみ」と感じている
  • 頭では「遅刻しないか」「約束を忘れないか」と考えている

どちらか一方ではなく、楽しみと不安が同時にあります。外からは楽しそうに見えていても、内側では確認や心配が続いていることがあるのです。

楽しみな約束でも、帰るまで心配が続く

花火大会の話をしたのは、ほんの数時間前でした。それでも彼女は、家に帰るまで約束のことを考えていたそうです。

「遅刻して迷惑をかけないだろうか」「忘れないようにしなきゃ」と、まだ起きていない未来へ備えようとしていました。楽しい予定でさえ、きちんと守ろうとするほど考えることが増えていきます。

彼女によると、こうした確認や心配は花火大会だけでなく、さまざまな会話や予定でも頭の中を巡るそうです。

疲れて眠いのに、今日の出来事が止まらない

彼女は、仕事などで疲れて帰った日は体には眠気があると言います。それなのに、布団へ入ると今日あった出来事が次々に浮かび、寝つけないことがあります。

体は「眠りたい」と感じているのに、頭はまだ一日を振り返っている。そのずれが、「眠たいのに寝られない」というつらさにつながっていました。

LINEの未読・既読で「何か悪いことをしたか」と不安になる

LINEが未読のままでも、既読になって返事がなくても、彼女は「私、何か悪いことをしたかな」と考えてしまうそうです。

相手が忙しいだけかもしれません。しかし、理由が分からない時間が長くなるほど、自分の言葉や行動を振り返り、悪かった点を探し続けます。夜まで返事がなければ、その不安を抱えたまま布団へ入ることになります。

彼女の話から見えた、HSPで眠れない4つの理由

  1. 終わった出来事も、頭の中では処理が続いている
  2. 楽しみな予定にも「失敗しないか」という不安が重なる
  3. 相手の反応が分からないと、理由を探し続けてしまう
  4. 眠れないことへの焦りが、新しい考えごとになる

もちろん、すべてのHSPに同じことが当てはまるわけではありません。また、エアコンの音、カーテンから入る光、寝具の肌触りなど、感覚への刺激が寝つきを妨げる場合もあります。

大切なのは、「考えすぎ」とひとことで片づけないことです。彼女の話を聞くと、心配したくて心配しているのではなく、約束を守るため、相手を傷つけないため、今日の出来事を理解するために、思考が止まりにくくなっていることが分かります。

HSPで眠れない夜に試したい7つの対処法

ここから紹介する7つは、僕が自分で試して効果を実感した方法ではありません。彼女が実際にしている工夫と、厚生労働省、国立精神・神経医療研究センター、米国退役軍人省などの資料で確認した内容を整理したものです。

どれもHSPだけに向けた治療法ではなく、合うかどうかには個人差があります。「全部やらなければ」と思わず、負担の少ないものをひとつ選んでください。

1.眠ろうと頑張りすぎない

眠れない夜、ベッドに横になり「眠れなくても休めている」と自分を落ち着かせる女性

彼女の話:彼女は「明日も早いから寝なきゃ」と思うほど、時計や残り時間が気になり、余計に目が冴える夜があると話していました。

資料で確認したこと:国立精神・神経医療研究センターの不眠症の解説では、寝床に入っても眠れないときは無理に眠ろうとせず、いったん寝床を離れ、眠気が訪れてから戻る方法が紹介されています。

暗めで静かな場所に移動し、紙の本を読む、穏やかな音声を小さな音で聴くなど、刺激の少ないことをして過ごします。時計を何度も見ると焦りにつながりやすいため、見えない向きに置くのもひとつの工夫です。

「眠れなくても休めている」と考えられるなら、そのまま横になっていても構いません。ただし、布団の中で焦りが強くなるときは、いったん離れることを検討してください。

2.頭の中の考えを紙に書き出す

夜の寝室で、頭から離れない出来事や明日の予定をノートに書き出す女性

彼女がしていること:花火大会の約束や明日の予定が頭を巡るときは、忘れたくないことを短くメモするそうです。長い日記ではなく、「集合時間を確認する」「明日LINEを見返す」のように、次にすることが分かる程度に書きます。

  • いま気になっていること
  • 今日つらかったこと
  • 明日やること
  • 明日考えること

資料で確認したこと:米国退役軍人省の不眠症向け教材でも、心配ごとと次にできる行動を書き出し、考える時間を日中に設ける方法が紹介されています。答えを出すことより、「続きは明日考える」と区切るためのメモです。

書く時間は5分ほどで十分です。スマートフォンのメモは通知やSNSが目に入りやすいため、できれば紙とペンを使います。

3.呼吸や体の感覚に意識を戻す

ベッドで目を閉じ、つま先から顔まで順番に体の感覚へ意識を向ける女性

資料で調べた方法:頭の中で答えを探し続けているときは、呼吸や体の感覚へ注意を移す「ボディスキャン」という方法があります。

  1. 楽な姿勢になり、呼吸を無理に変えず観察する
  2. つま先、ふくらはぎ、太ももの順に感覚を確かめる
  3. お腹、肩、顔へとゆっくり意識を移す
  4. 考えが浮かんだら、気づいてから体へ意識を戻す

力を抜こうと頑張る必要はありません。「肩が重い」「足先が温かい」と、いまある感覚を確認します。途中で昼間の会話へ意識が戻っても失敗ではありません。気づくたびに、呼吸や足先へ戻れば十分です。

なお、ボディスキャンと、筋肉に力を入れてから緩める「漸進的筋弛緩法」は似ていますが、同じ方法ではありません。痛みがある部位に無理に力を入れず、自分が負担なくできるほうを選んでください。

4.安心できる場所を思い描く

眠れない夜に目を閉じ、木漏れ日の森や静かな水辺を思い浮かべる女性

僕も以前、「米軍には、緊張の強い環境でも休むための方法がある」と聞いたことがあり、今回あらためて資料を調べました。

公的資料で確認できたこと:米国退役軍人省の不眠症向け資料では、呼吸法、筋肉を順番に緩める方法、心が落ち着く場面を思い浮かべる「ガイド・イメージ法」がリラクゼーションの選択肢として紹介されています。

たとえば、木漏れ日のある森、静かな水辺、安心して過ごせる部屋など、自分が落ち着く場所をひとつ選びます。景色だけでなく、聞こえる音、空気の温度、足元の感触までゆっくり思い浮かべます。

思い浮かべることでつらい記憶が出てくる場合は、無理に続けず中止してください。安心できるイメージが浮かびにくい人は、呼吸や布団の感触へ意識を戻すだけでも構いません。

5.光・音・温度・寝具の刺激を減らす

雨音と穏やかな香りを取り入れ、柔らかなブランケットに包まれて休む女性

彼女がしていること:彼女は寝る前に、部屋の明るさや音、布団の肌触りなど、その日に気になる刺激がないかを確かめています。全部を完璧に整えるのではなく、気になるものをひとつ減らすそうです。

気になる刺激試しやすい工夫
遮光カーテン、アイマスク、家電の表示灯を隠す
耳栓、一定の小さな環境音、家電の位置を変える
温度暑すぎ・寒すぎを避け、寝具で微調整する
肌触りタグのない寝衣、肌になじむシーツへ替える
におい強い芳香剤を避け、寝室を換気する

資料で確認したこと:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、寝室を暗く静かに保ち、暑すぎたり寒すぎたりしない環境を整えることが勧められています。

香りで落ち着く人は、好みの香りを弱く使う方法もあります。ただし、強い香りはかえって刺激になることがあります。ペットや妊娠中の方がいる場合、アロマオイルの種類や使い方にも注意してください。

6.スマートフォンを寝床から離す

寝る前にスマートフォンを伏せて離れた場所へ置き、暖かな照明で本を読む女性

彼女がしていること:LINEの未読や既読が気になる彼女は、充電場所を枕元から手の届かない位置へ移しました。最初から1時間見ないのは難しかったため、寝る前の15分だけ見ないところから始めたそうです。

完璧に守ろうとすると、それ自体が負担になります。見てしまった日は失敗と考えず、翌日にまた15分から始めます。

  • 充電場所を寝床から手の届かない位置にする
  • 就寝前は通知をオフにする
  • SNSやニュースを見る終了時刻を決める
  • 必要なら目覚まし時計を別に用意する

資料で確認したこと:厚生労働省の睡眠ガイドでも、寝室にスマートフォンやタブレットを持ち込まず、できるだけ暗くして眠ることが勧められています。画面の光だけでなく、SNSやニュースから新しい情報が入ることも、頭が休まりにくくなる理由です。

7.眠れない自分を責めない

眠れなかった自分を責めず、夜明けの光が差すベッドで静かに体を休ませる女性

彼女の話:眠れないことに加えて「また眠れない」「明日もだめかもしれない」と自分を責め始めると、つらさが大きくなると言います。

そんな夜、彼女は頭に浮かぶ言葉を次のように置き換えています。

  • 「眠らなきゃ」ではなく「静かに休もう」
  • 「明日は絶対つらい」ではなく「明日のことは明日調整しよう」
  • 「また失敗した」ではなく「今日は寝つきにくい夜だった」

資料で確認したこと:不眠症の認知行動療法に関する国立精神・神経医療研究センターの解説では、眠りに関する強い思い込みや不安を見直す認知再構成も、有効な構成要素として挙げられています。眠れない自分を無理に好きになる必要はありません。ただ、責めるのを少し休むだけでも、睡眠への焦りを増やさずに済みます。

参考資料で確認した、睡眠の土台

ここからは、彼女個人の体験ではなく、厚生労働省などの資料をもとにした一般的な睡眠習慣です。夜だけで眠りを何とかしようとせず、日中から少しずつ整えます。

起きる時刻をそろえ、朝の光を浴びる

夜の眠りは、朝から準備が始まっています。眠れなかった翌日も、できる範囲で起きる時刻を大きくずらさず、カーテンを開けて朝の光を取り入れます。朝から日中に光を浴びることは、体内時計を整える助けになります。

休日に長く寝すぎたり、夕方以降に長い昼寝をしたりすると、次の夜に眠気が訪れにくくなる場合があります。眠れなかった自分を罰するように無理をするのではなく、生活に支障が出ない範囲で起床時刻を整えてください。

カフェイン・お酒・入浴のタイミングを見直す

コーヒーやエナジードリンクなどに含まれるカフェインの影響には個人差があります。寝つきが悪い人は、夕方以降の摂取を控え、変化を見てみましょう。

お酒を飲むと寝つきやすく感じることがありますが、途中で目が覚めるなど、睡眠の質を下げる原因になります。眠るための飲酒を習慣にするのは避けてください。

厚生労働省の睡眠ガイドでは、就寝の1〜2時間前に入浴して体を温めることも紹介されています。熱いお湯や長風呂が負担になる方は、無理のない温度と時間で試してください。

対処法を試しても眠れない夜はある

彼女も、ノートへ気持ちを書いたり、スマートフォンを遠ざけたりしても、眠れない夜があると言います。

方法を試したのに眠れないのは、努力が足りないからではありません。眠りは意思だけで完全にコントロールできず、セルフケアにも合う・合わないがあります。

対処法の目的を「必ず眠ること」ではなく、「眠れない時間を少し穏やかにすること」と考えてみてください。合わない方法は途中でやめてもいいし、何もせず休む夜があっても構いません。

悩み別に選ぶなら、まずはこの方法から

いまの悩み最初に試したいこと
考えごとが止まらない紙に書き出す、体の感覚へ戻る
焦って目が冴えている時計を見ず、いったん寝床を離れる
緊張が残っている呼吸を観察し、安心できる場所を思い描く
音や光が気になる気になる刺激をひとつ減らす
LINEやSNSが気になる通知を切り、スマートフォンを寝床から離す
眠れない自分を責めている「失敗」ではなく「寝つきにくい夜」と言い換える
生活リズムが乱れている起床時刻をそろえ、朝の光を浴びる

眠るための方法を増やしすぎると、「全部やらなければ」と新たな負担になることがあります。今夜はひとつ、1週間ほど続けるなら多くても2つに絞るのがおすすめです。

眠れない状態が続くときは医療機関へ相談を

眠れない原因が、すべてHSPの気質にあるとは限りません。不眠症のほか、睡眠時無呼吸、むずむず脚症候群、心身の病気、服用している薬などが関係する場合もあります。

次のような状態があるときは、「もう少し頑張ってから」と我慢せず、内科・心療内科・精神科・睡眠外来などへ相談してください。

  • 眠れない状態が続き、仕事・学業・家事に支障が出ている
  • 日中の眠気が強く、運転や作業に危険を感じる
  • 大きないびき、睡眠中の息苦しさや呼吸停止を指摘された
  • 脚の不快感で、じっとしていられない
  • 気分の落ち込みや強い不安も続いている

厚生労働省の「睡眠対策」でも、睡眠の問題が続き、日中の生活に影響している場合は、医師への相談が勧められています。市販の睡眠改善薬やサプリメントを長く自己判断で使うのではなく、医師や薬剤師に相談しましょう。

睡眠に関するよくある質問

HSPは睡眠障害になりやすいのですか?

HSPは病名ではなく、HSPだから睡眠障害になると決まっているわけではありません。ただ、考えごとや感覚への刺激が睡眠を妨げていると感じる人はいます。HSPと決めつけず、生活習慣や寝室環境、体調なども一緒に見直すことが大切です。

眠れないときも横になっていれば休めますか?

楽な気持ちで横になれているなら、静かに休んでも構いません。ただし、寝床で焦りや不安が強くなっている場合は、いったん離れ、眠気が戻ってから入り直す方法があります。

眠れない夜にお酒を飲んでもいいですか?

寝酒はおすすめできません。一時的に寝つきやすく感じても、夜中に目が覚めやすくなり、睡眠の質を下げることがあります。眠るための飲酒が続いている場合は、医療機関へ相談してください。

何日眠れなければ受診すべきですか?

日数だけで一律に判断する必要はありません。眠れないことで日中の生活に支障が出ている、強い眠気で危険がある、心身の不調がつらいと感じるなら、期間にかかわらず早めに相談して大丈夫です。

この記事で参考にした資料

まとめ|HSPで眠れない夜は、刺激と焦りをひとつ減らそう

彼女の話を聞くと、眠れない夜には、今日の出来事、これからの約束、相手の反応への不安が同時に巡っています。さらに光や音などの刺激と、「早く寝なければ」という焦りが重なることもあります。

彼女がしているのは、気になることを紙に書く、スマートフォンを少し離す、寝室の刺激をひとつ減らすといった小さな工夫です。公的資料を調べると、眠れないときはいったん寝床を離れることや、生活リズムを整えることなども紹介されていました。

眠れない夜を過ごしたあと、朝の光が差す窓辺で温かい飲み物を手にする女性

どの方法も、必ず眠れると約束するものではありません。今夜は負担の少ないものをひとつ選び、眠れない自分を責める材料にしないことが大切です。

セルフケアを続けても改善しない場合や、日中の生活に影響が出ている場合は、専門家へ相談してください。

HSPを含む繊細な気質との付き合い方をさらに知りたい方は、「躁鬱×ADHD×HSPが持つ『繊細すぎる心』との付き合い方」も参考にしてみてください。

躁鬱×ADHD×HSPが持つ「繊細すぎる心」との付き合い方