双極性障害を公表している有名人は、さまざまな分野にいます。音楽家や俳優、作家、YouTuberなどです。
僕がこのテーマを調べたきっかけは、彼女の病気です。付き合っている彼女は、双極性障害と診断されています。有名人の体験や言葉を知るたびに、彼女の行動を振り返りました。自分の接し方も考え直しました。
ただし、この記事は「双極性障害があるから成功できた」と伝えるものではありません。また、公表されていない人を、憶測で双極性障害と決めつけることもしません。ここでは病名を公表している5人を取り上げます。本人の言葉と、僕が考えたことを紹介します。
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双極性障害を公表した有名人5人
1. こっちのけんとさん|明るい曲の中に隠されたSOS
こっちのけんとさんは、アーティストとして活動しています。俳優・歌手の菅田将暉さんの弟としても知られています。うつ病の治療中に、躁うつ病(双極性障害)と診断されました。そのことを本人が明かしています。
TOKYO FMのインタビューでは、気分が高まりすぎた時期について語っています。当時は、友人の誘いや仕事の依頼を「はいよろこんで」と受けていました。人の役に立とうとする一方で、自分を後回しにしていたそうです。その体験が、楽曲『はいよろこんで』の背景にありました。
日テレNEWS NNNの本人インタビューでは、曲中の音について説明しています。「トン・トントン・ツーツーツー・トン・トントン」は、モールス信号のSOSです。明るく踊れる曲の中に、「助けて」という合図が入っています。それを知り、元気に見える姿だけでは、つらさは分からないと感じました。

彼女と出会った頃は、仕事をほとんど休んでいませんでした。寝ないで絵を描くこともありました。僕は、アクティブな人なのだと思っていました。今振り返ると、エネルギーが高い時期だったのかもしれません。
もちろん、活動的な様子だけで躁状態だったとは判断できません。それでも、こっちのけんとさんの言葉から学んだことがあります。元気に見えるときにも、本人にしか分からないSOSがあります。そのことを覚えておきたいと思いました。
彼女の行動を、病気や特性だけで決めつけないことも大切です。詳しくは、躁鬱×ADHD×HSPの彼女と付き合って気づいたこと|病名で決めつけない向き合い方で書いています。
2. 広末涼子さん|病気を理解することと、行動の責任を分けて考える
広末涼子さんは、2025年5月に診断名を公表しました。双極性感情障害と甲状腺機能亢進症です。その後、芸能活動を休止しました。2026年4月には、無理のない形で活動を再開しています。
病名が公表されたのは、2025年の交通事故が報じられた後です。僕は彼女のことを思い、他人事ではないと感じました。ただし、事故の原因を双極性障害だったと断定することはできません。病名と個々の行動を安易に結びつけないことが大切です。
2026年のTBSのインタビューでは、病名公表への迷いを語っています。病気を言い訳にしたくなかったそうです。許されることではないとも考えていました。一方、次男から、ファンは休養の理由を知りたいのではないかと言われます。その言葉を受け、公表への考えが変わったそうです。
この言葉を読み、改めて感じたことがあります。病気を理解することと、すべての行動を許すことは別です。本人が休み、治療を受けることは尊重したいです。一方で、周囲が傷ついた事実まで消す必要はありません。
僕にとって広末涼子さんといえば、ドラマ『ビーチボーイズ』です。反町隆史さん、竹野内豊さんと共演し、和泉真琴を演じました。病名や報道だけが、その人のすべてではありません。昔好きだった作品を見返すと、俳優として残したものの大きさも感じます。
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3. 中島らもさん|病気を知る前に作品を好きになっていた
中島らもさんは、幅広い分野で活動しました。作家、劇作家、ミュージシャンなどです。自身の躁うつ病体験も文章に残しています。エッセイ『心が雨漏りする日には』では、通院や薬について綴りました。仕事との付き合い方にも触れています。
僕は『ガダラの豚』を1巻から3巻まで一気に読みました。題材は、新興宗教や超常現象です。僕の好みに合い、とくに1巻に強く引き込まれました。その後、中島らもさんの躁うつ病体験を知り、驚きました。
『ガダラの豚』には、弱った心へ悪質な団体がつけ込む場面があります。僕は、そこに怖さを感じました。これは信仰や新興宗教のすべてを否定する話ではありません。苦しいときに救いを求めるのは自然なことです。しかし、その気持ちを利用して高額なお金を求める人もいます。本人の判断を奪うことにも怖さを感じました。
周囲が倫理や論理で説得しても、本人から「奇跡を見た」と言われることがあります。そうなると、同じ土台で話すのは困難です。ただし、もう助けられないと決めつけるべきではありません。正論だけでは届きにくい状態もあるのだと思います。
僕は作品を好きになった後で、病気のことを知りました。この順番は大切です。双極性障害は、中島らもさんの人生の一部です。しかし、作品の面白さを病名だけで説明することはできません。その人のすべても、病名だけでは分かりません。
『ガダラの豚』の作品情報は、集英社公式サイトで確認できます。『心が雨漏りする日には【新装版】』の内容は、青春出版社公式サイトをご覧ください。

新興宗教や超常現象を扱う物語なら、『ガダラの豚』がおすすめです。僕は1巻から3巻まで一気に読みました。とくに物語の始まりとなる1巻に引き込まれました。

この記事を書いていて、また読みたくなり1巻を読み返してます。

本人の躁うつ病体験を知りたい人には、『心が雨漏りする日には【新装版】』が合います。通院や薬について、本人の文章で知ることができます。仕事をどのように捉えていたのかにも触れています。作品を楽しんだ後に読むと、作家とは別の一面も見えてきます。
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4. 北杜夫さん|大きな夢を否定せず、お金の判断は急がない
北杜夫さんは、芥川賞を受賞した作家です。神経科を専攻した医師でもありました。僕はこの記事を書くために調べ、初めて詳しい経歴を知りました。
精神医学を学んだ医師も、双極性障害を経験することがあります。知識や知性があれば、病気を避けられるわけではありません。「頭を使う人ほど発症する」といった単純な説明もできません。
北杜夫さんは、娘の斎藤由香さんと『パパは楽しい躁うつ病』を出版しました。本書では、朝5時から株の売買に熱中した日々が語られています。最終的には破産に至りました。躁状態では、睡眠が少なくなることがあります。自分は何でもできると感じ、浪費する場合もあります。厚生労働省も、こうした変化を説明しています。

彼女にも、寝ないで働いていた時期があります。その頃、ネイルの出張サービスや店の経営を話していました。どちらも大きな構想でした。
当時は出会って間もなく、心配を胸の中にしまっていました。幸い、契約や出費をする前に、その話はなくなりました。今なら、夢そのものは否定しません。そのうえで「今日は契約せず、一度一緒に整理しよう」と伝えたいです。
大きな夢を語るだけで、躁状態とは判断できません。普段との違いを見ることが大切です。たとえば、睡眠が極端に少なくなることがあります。計画が急に大きくなることもあります。高額な契約を急ぐ場合も注意が必要です。夢を否定しないことと、出費に賛成することは別です。

『パパは楽しい躁うつ病』は、北杜夫さんと娘の斎藤由香さんによる父娘対談です。株の売買に熱中し、破産した体験も登場します。誇大な考えに振り回された日々も描かれています。家族の体験を、ユーモアを交えて語った本です。
この本では、本人だけでなく家族の視点も知ることができます。そばにいた家族が何を見たのかも語られます。その変化をどう受け止めたのかも分かります。身近な人の急な変化に悩む人にも、考えるきっかけになる本です。
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5. 木下ゆうかさん|好きな仕事でも、できなくなるときがある
木下ゆうかさんは、大食い動画で知られるYouTuberです。YouTubeの更新は、半年以上止まっていました。2024年8月、動画で双極性障害を公表しました。
僕が木下ゆうかさんを知ったのは、ダイエット中でした。なぜか大食い動画を見ると落ち着きました。最初は「かわいい人だな」と思い、動画を見ていました。活動休止後に双極性障害を公表したと知り、驚きました。画面の中の明るい姿だけでは、分からないこともあります。
文春オンラインの本人インタビューでは、診断の経緯を語っています。最初の診断はうつ病でした。その後、元気な時期とうつの時期を繰り返します。やがて双極性障害と診断されました。別のインタビューでは、躁状態についても話しています。仕事への意欲が強まり、睡眠は2〜3時間になりました。一方、うつ状態では入浴も難しくなったそうです。
好きな仕事で成功していても、更新できない時期はあります。症状によって、体や心が動かなくなるからです。「旅行に行きたい」「仕事をしたい」という気持ちは、嘘ではありません。ただ、実行するときには動けないこともあるのだと思います。
やりたい気持ちと、実際にできる状態は別です。木下ゆうかさんの体験から、そのことを学びました。できなかった結果だけで判断しないようにしたいです。最初からやる気がなかったと、決めつけたくありません。
木下ゆうかさん本人が、うつ状態や薬による治療について話すYouTube動画を見る
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病名は違っても、武尊選手から学んだ休養の大切さ
ここまで紹介した5人と、武尊選手では病名が異なります。それでも、武尊選手の言葉は心に残りました。休養について考えるヒントがあったからです。武尊選手は、うつ病とパニック障害を公表しています。
対談動画では、周囲から元気のなさを指摘された体験を語っています。自分でも「頑張らなければ」と思い、負担を感じていました。一方、「頑張らなくていい」という言葉には安心できたそうです。「ちょっとずつでいい」という言葉も支えになりました。体調が悪いときには、休むと言えるようになったそうです。心身が限界に近づいたとき、休養を選んだことも語っています。
『武尊、うつ病で限界だった。世界王者が復活を目指す現在の姿とは』動画を見る
「頑張って」より「ちょっとずつでいい」
彼女は、心身への負担が大きい仕事をしています。つらさが強い時期には、しばらく休むこともあります。ただ、生活があるため、休み続けることはできません。彼女が仕事へ戻ろうとしたとき、僕は心配になりました。急に無理をして、再び苦しくなるかもしれないからです。そこで「急に無理しちゃだめだよ」とLINEを送りました。「ちょっとずつでいいんだよ」とも伝えました。

彼女からは「ありがとう」と返ってきました。働こうとする気持ちを、否定する必要はありません。無理のないペースでよいと伝えることも大切です。それが、安心できる場所をつくる方法の一つだと思います。
もちろん、「ちょっとずつ」と言えば症状がよくなるわけではありません。必要な休養の長さは、人によって違います。復帰の時期も同じではありません。治療については、医師などの専門家へ相談する必要があります。それでも、相手を急かさないことはできます。休むことを責めず、本音を言える関係もつくれます。それは身近な人にもできる支え方だと感じました。
5人の生き方を知って、彼女との関係で考えたこと
活動的に見えるときも、病気の影響が隠れていることがある
双極性障害の躁状態では、眠らずに働き続けることがあります。自分は何でもできると感じることもあります。一方、もともと明るく活動的な人もいます。そのため、病気の影響かどうかを周囲が判断するのは困難です。その人らしさとの区別も簡単ではありません。
厚生労働省は、普段との違いが重要だと説明しています。「いつもと違う」「やり過ぎ」といった変化です。一つの行動だけで、病気の影響だと決めつけてはいけません。睡眠、仕事量、お金の使い方などを見ていく必要があります。
支えることと、すべてを許すことは違う
彼女とは、北海道旅行を2回計画しました。どちらも実現していません。1回目は前日のキャンセルでした。僕が代金を払っていたため、彼女を責めました。彼女からは「体調が悪かったら仕方ないじゃん」と言われました。僕には、旅行を失った悲しさが残りました。気持ちを受け止めてもらえない悲しさもありました。
北海道は彼女の故郷です。僕の目的は、観光だけではありません。彼女が昔好きだった店や景色を一緒に見たかったのです。そうすることで、彼女への理解を深めたいと思いました。また、二人で旅行したという特別な記憶も残したかったのです。
体調が悪くて行けなかったことと、僕が傷ついたことは両立します。病気が理由でも、何も言ってはいけないわけではありません。ただし、症状が強い最中に責めるのは避けたいです。落ち着いた時期に、失ったお金や時間について話します。次の約束の仕方も、一緒に考える方がよいと思います。
病気を理解しても、傷つかなかったことにはできません。相手を支えながら、自分の生活や幸せも守ってよいと、今は考えています。
病気への理解と、自分の気持ちの間で悩むことがあります。その体験は、双極性障害の彼女を「甘えじゃないか」と思った僕の本音|支え方と距離感に悩んででも書いています。
できなかったことだけで、二人の関係を測らない
旅行はまだ実現していません。しかし、二人で続けられていることもあります。その一つがポーカーです。もともとは彼女の趣味でした。僕も一緒にやり、相手や確率を考えるゲームだと知りました。単なるギャンブルではない面白さに、僕ものめり込みました。ポーカーへの誘いには、彼女もたいてい来てくれます。
もう一つは、カフェでゆっくり話すデートです。旅行より負担が小さく、二人で落ち着いて話せます。この時間は、僕にとって大切なものになっています。
旅行へ行けなかった悲しさを、無理に消す必要はありません。一方、彼女から新しい趣味を教えてもらった時間もあります。カフェで重ねた会話も、二人だけの思い出です。いつか北海道へ行く日も、こうした時間の延長にあるのかもしれません。

以前は、双極性障害の知識を彼女へそのまま当てはめていました。当時の誤解は、双極性障害の彼女との恋愛で僕が誤解していた5つのこと|付き合って気づいた距離感にまとめています。
双極性障害の有名人を調べて分かったこと
- 明るく元気に見えるときにも、本人にしか分からないSOSがある
- 病気を理解することと、すべての行動を許すことは同じではない
- 大きな夢を否定しなくても、高額な契約や出費は急がずに考えられる
- やりたい気持ちがあっても、症状によって実行できないことがある
- 双極性障害はその人の一部であり、作品や人生のすべてを説明するものではない
- 休むことを弱さと決めつけず、安心して少しずつ戻れる環境を大切にする
5人の体験は、それぞれ違います。同じ双極性障害でも、症状の現れ方は人によって異なります。必要な支援も同じではありません。有名人の体験を、そのまま彼女へ当てはめるべきではありません。まずは本人の言葉を聞くことが大切です。医師などの専門家とも相談し、その人に合う付き合い方を探します。
有名人の公表を知ると、自分たちだけではないと感じられます。その一方で、病名だけに注目しないことも大切です。その人が作った曲や物語があります。好きな仕事や、家族との関係もあります。そうした病名の向こう側も忘れたくありません。
双極性障害の症状は、厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」でも確認できます。家族や友人としての接し方も掲載されています。強い躁状態や、深いうつ状態があるときは注意が必要です。自傷や自殺を思わせる言動がある場合も、二人だけで抱え込まないでください。治療を受けている医療機関などへ相談してください。

